年齢によって低下してくる
三大男性機能とは
〜男性としてとても大切なこと〜
1.三大男性機能とは
男性の生殖機能とは、女性を妊娠させることができる機能を指し、卵子と結びつく精子をつくる機能(造精機能)と、精子を女性器へ送り込む機能(性機能)の2つの機能に分かれます。この2つの機能が備わっていることで、自然な妊娠が可能になります。
性機能は、性欲、勃起、性交、射精、オルガズムの5つの要素からなりますが、性欲がわかなかったり、EDがあると、性交まで至らず、当然ながらパートナーを妊娠させる力がなくなってしまいます。そのため男性機能を維持する上で、精子力、勃起力、性欲の3つが重要となります。この3つを三大男性機能と呼んでいます。
2.日本人の不妊リスク
2021年のWHOの精液検査正常値は、精液量1.4㎖以上、精子濃度1600万/㎖以上、運動率42%以上、正常形態率4%以上となっています。
この正常値を上回っていれば、自然妊娠できる可能性があり、下回っていれば、男性不妊症の可能性が高くなるという意味です。
ブライダルチェックの結果から約4人に1人が精液量や精子濃度、運動率でWHOの基準値を下回り、不妊リスクがあるといわれています。
3.昔と比べた現在の精子数
2017年に、ヘブライ大学(イスラエル)とマウント・サイナイ医科大学(アメリカ)の研究者らが発表した調査結果によると米欧、オーストラリア、ニュージーランドの男性の精子の数はこの40年間で半分以下に減ったという報告があります。
また日欧の国際共同研究で、日本人男性の精子数は、フィンランドの男性の精子数の約3分の2しかなく、調査した欧州4カ国・地域の中でも最も少ないことがわかっています。日本人の精子数を100とすると、フィンランドが147、スコットランド128、フランス110、デンマーク104という結果です。日本人の精子数が少ないのは生活習慣が関係しているのではと考えられ、日本人は働きすぎで、睡眠不足やストレスが多いことが指摘されています。精子が少なくなる環境にいる現代人は、妊娠を望む場合、精子を減らさない努力をすることが大切になってきます。
4.精液悪化のリスク
活発な精子の数(総運動精子数)は、35 歳を過ぎると大きく減少することが明らかになっています。女性は年齢を重ねると妊娠しづらくなりますが、男性も同様です。特に最近は晩婚化が進み、結婚前にすでに精液の所見が悪化している男性が増えています。
2020年の男性の初婚平均年齢は31歳なので、1人目は自然妊娠ができても、2人目がなかなかできないというケースも少なくありません。年齢とともに精子が老化して、男性不妊になっている可能性もあるのです。「男性はいくつになっても子どもをつくることができる」と思っている人も多いですが、勃起や射精に問題がなくても、精子は老化していくことを念頭においておくことが重要となります。
5.造精機能障害と原因について
男性不妊の原因は、約80%が造精機能障害といわれており、造精機能障害は、精子をつくり出す機能自体に問題があり、精子をうまくつくれないことを指します。造精機能障害は半分以上が原因不明で、約30%が精索静脈瘤が原因となります。
他の原因として、停留精巣や染色体異常(クラインフェルター症候群等)による無精子症があり、抗がん剤投与や放射線治療も造精機能障害を引き起こすことが知られています。
6.精索静脈瘤とは
男性不妊の中でも原因がはっきりしており、治療しやすい病気が精索静脈瘤です。精索静脈瘤とは、血流の障害で腫れが発生し、陰嚢内の温度上昇が精巣の発育不全などを発症し、造精機能に悪影響を与える病気でほとんどが左側にできます。男性不妊の約30%にみられますが、自覚症状がないことがほとんどです。まずはセルフチェックを行い、下記に該当する人は精索静脈瘤の可能性があるため、クリニックで検査することをお勧めします。
- 陰嚢サイズに左右差がある(左が小さい)
- 陰嚢の表面にしわがより、でこぼこしているような気がする
- 立ち上がったときに、たまに痛みを感じる
- 陰嚢の表面を触るとぶよぶよしたこぶのようなものを感じる
7.射精障害とは?その原因について
精液の状態は正常でも、射精に問題があって、性交が難しく、男性不妊となるケースもあります。勃起はできても射精ができなかったり、射精までの時間が早い、もしくは射精までに時間がかかる、性行為で射精ができないといった方は射精障害となります。
射精障害の原因としては、不適切なマスターベーションを行っている場合があげられます。床オナと呼ばれるような、床に性器をこすりつけて行う、刺激が強いマスターベーションを日常的に行っていると、腟の中にペニスを挿入しても何も感じなくなってしまうのです。
また「アダルトビデオを見ながらでないと射精できない」「ひとりでないと射精できない」「セックスが下手と言われて射精できない」といった心因性の問題も原因となります。射精障害はほかにも、脊椎損傷などによって起こる神経性射精障害、精液が出てこない逆行性射精障害、早漏などがあります。神経性射精障害の治療は困難ですが、逆行性射精障害、早漏には処方薬があり、改善が期待できます。
いずれも、早いうちにメンズクリニックや泌尿器科に相談してみることをお勧めします。