近年、増えている男性力の不調とは
〜気になるEDについて〜
1.三大男性機能とは
男性の生殖機能とは、女性を妊娠させることができる機能を指し、卵子と結びつく精子をつくる機能(造精機能)と、精子を女性器へ送り込む機能(性機能)の2つの機能に分かれます。この2つの機能が備わっていることで、自然な妊娠が可能になります。
性機能は、性欲、勃起、性交、射精、オルガズムの5つの要素からなりますが、性欲がわかなかったり、EDがあると、性交まで至らず、当然ながらパートナーを妊娠させる力がなくなってしまいます。そのため男性機能を維持する上で、精子力、勃起力、性欲の3つが重要となります。この3つを三大男性機能と呼んでいます。
2.ED(勃起障害)とは
妊活が上手くいかない原因の80%が造精機能障害といわれていますが、近年、性機能障害の人が増えています。性機能障害とは、性交がスムーズにできない状態を指し、なかでも多いのがED(勃起障害)と射精障害です。
ED (勃起障害)とは、十分な勃起が得られないことや、勃起しても挿入中に維持できない状態です。射精障害は、膣内射精障害、逆行性射精、早漏や遅漏、射精反射がないといった状態です。性機能障害は治療しなければ自然妊娠が難しいため、心当たりのある方は早めに生殖医療専門医に相談し、適切なED治療を受けることをお勧めします。
3.EDの原因
EDの原因は心因性、器質性、混合性の3つのタイプにわけられます。
心因性ED
体に問題はないのに、仕事や家庭でのストレス、性交がうまくいかなかったときのトラウマなどが勃起不全の原因なります。「排卵日だからセックスしないといけない」といったプレッシャーでEDが起こることもあります。
勃起しなくなったと思ったら、心因性の要素を考慮することが重要です。
器質性ED
神経に障害を受けると、勃起の信号が陰茎まで届かずにEDの原因となります。脳出血や脊髄損傷、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、糖尿病性神経障害などが挙げられます。血液の働きが妨げられることもEDの原因となります。動脈硬化やその原因となる糖尿病、高血圧、高脂血症といった生活習慣病があるとEDのリスクが高まります。
混合性ED
心因性、器質性のどちらの原因も持っているケースもあります。
これらの要素が複合的に影響し、勃起しない原因となります。
4.若年男性でもEDになりうる。20代、30代でも起こる勃起障害
EDは中高年の男性に起こるものだと思っている方もいますが、若い人(20代・30代)にも起こります。20~30代の若い世代のEDの原因は、心因性EDがほとんどです。強いストレスを受けたり、不安があると、神経の伝達がうまくいかず、性的刺激が陰茎にスムーズに伝わらなくなるのです。
さらに「妻だけED」という言葉もあり、「妻を家族として見ているため性交の対象とならない」というケースもあります。妊活中のプレッシャーで、性交ができなくなる人も少なくありません。
このような状況に直面した場合、まずはその原因を明らかにすることが重要です。心因性EDであれば、ストレスや不安の原因を特定し、それを軽減する方法を探ることが求められます。
20代・30代の検討する際は、早めに生殖医療専門医に相談してください。
5.勃起力と精子力の関係性
精液の状態改善と妊娠確率向上に向けて
精液の状態や勃起力を検査するブライダルチェック(プレコンチェック)による調査を行ったところ、勃起力が落ちている人は精液所見が悪い、という結果がでました。
つまり、EDがあった人は精液の状態・質が悪くなっている可能性が高いということです。「精子の質を上げる」ためには、まずは自身の勃起力をチェックし、自覚することが大切です。勃起力の低下が自覚できるため、それが精子力低下のバロメーターとなり得ます。
自覚症状があって、子どもが欲しい人は、早めに精液検査を受けることをお勧めします。