男性妊活における活力低下の要因
〜なぜ性欲減退してしまうのか〜
1.三大男性機能とは
男性の生殖機能とは、女性を妊娠させることができる機能を指し、卵子と結びつく精子をつくる機能(造精機能)と、精子を女性器へ送り込む機能(性機能)の2つの機能に分かれます。この2つの機能が備わっていることで、自然な妊娠が可能になります。
性機能は、性欲、勃起、性交、射精、オルガズムの5つの要素からなりますが、性欲がわかなかったり、EDである場合は、性交まで至らず、当然ながらパートナーを妊娠させる力がなくなってしまいます。そのため男性機能を維持する上で、精子力、勃起力、性欲の3つが重要であり、これらを三大男性機能と呼んでいます。
2.セックスレスの増加
セックスレスとは、特別な事情がないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1か月以上ない状態を指すと日本性科学会が定義しています。
しかし、単純に性交がないというだけでなく、セックスレスはカップルの関係性における深い問題を示すこともあります。つまり、継続的なパートナーとのセックスは「心」の問題であり、2人の関係性の深い場所にあるものと考えられます。
日本人はセックスレスの夫婦が多いことがわかっています。日本家族計画協会の調査によると、セックスレスは年々増加し、2020年には50%を超えました。さらに、20代で17.9%、30代で28.3%がセックスレスであるという数字が出ており、若い世代でもセックスレスが深刻化しています。付き合いが長くなると、セックスがマンネリ化していたり、パートナーに慣れ親しんでしまって、性の対象になっていないという方も少なくありません。また、使っていない機能は衰えていくため、長い間、セックスをしていないと勃起力が維持しづらくなります。
3.日本人のセックス回数と満足度
世界各国と比べても、アジア圏は1年間のセックスの回数が少ない傾向にあります。
その中でも日本人夫婦やカップルのセックスの回数の少なさは有名です。さらに、セックスの満足度も低いことがわかっています。国際調査によると、「非常に満足」の割合が日本は最も低く、「まったく満足していない」と答えた割合が最も高くなっています。一方で、性に対する満足度は低くても生活や人生に対する満足度が高いため、セックスレスでも結婚生活を続けている人が多いのが日本人の特徴です。また、日本の家は狭いので、子どもができてしまうと、性行為をする場所がなくなってしまうという問題もあります。
4.アダルト産業の発展と
コミュニケーション力の低下
射精への神経に問題はないのに、妻や恋人には射精できない人が増えています。
現代はアダルト産業が発展しており、アダルトビデオはネットでいつでも見ることができます。一方で、アダルトビデオを見れば見るほど、性欲が落ちて勃起力が低下するという研究結果がでています。実際の女性とのセックスになると、コミュニケーションも必要ですし、「うまくできるだろうか」というプレッシャーもあって、勃起力が低回し、射精できなくなる人もいます。
さらに、結婚している場合は、妻を家族としてみてしまい、性欲がわかないという人もいます。
5.性への関心が低い若年男性
近年、若年男性のセックス初体験の年齢が高くなっていることが指摘されていますが、初体験が遅いと精液の状態が悪くなるというデータはありません。性経験が少ないのは、氾濫しているアダルトビデオで性欲を満たしていたり、対人への興味がなかったりするというケースが考えられます。現代はネット社会になり、実際に会わなくてもコミュニケーションが取れるため、対面することが怖かったり、面倒だという人も増えています。精子力は若い方が良いですが、性欲を数値化した調査によると、20代と60代がほぼ同じという結果もあります。