男性の妊活参加
〜男性の検査と夫婦間コミュニケーションの重要性〜
1.ご夫妻について
Bさんご夫妻(夫 29歳、妻 31歳) 結婚して2年後に妻が妊娠したが1回目は流産、2回目は子宮外妊娠に。妻の検査の結果、問題はなく、その後無事に妊娠して長女を出産。2年後に長男を出産。夫は男性妊活についてDクリニック東京へ一度相談。
2.妊活を話題にすることを避けていた
――今、お子さんは何歳ですか。
妻:4歳の長女と2歳の長男になります。
夫:子育ては大変なことも多いですが、子どもはやっぱりかわいいです。生まれてきてくれて本当によかったです。
――ご出産まではスムーズではなかったそうですね。
妻:1回目の妊娠では、胎児が育たず流産しました。2回目は子宮外妊娠で、片方の卵管を摘出することに。もうひとつの卵管は問題がないので、今後の妊娠に影響することはないと言われました。私の体の機能にも問題はなく、流産と子宮外妊娠の原因はわかりませんでした。
夫:これまで妊娠したらなにごともなく出産できるものだと思っていたので、2回妊娠がダメになったのはかなりショックでした。それまで関心がなかった妊活や不妊治療にも少し目を向けるようになりましたが、その話題には触れたくないという気持ちもありました。
――夫婦で妊活について話し合いをされましたか?
妻:3回目の妊娠で無事に長女を出産できましたが、流産と子宮外妊娠のあとは、妊娠について夫と話し合うのを避けていました。
夫: 妊活に向き合うというよりは、 「自然にまかせよう」という気持ちのほうが大きかったです。過去の2回の妊娠を振り返ると、どうしても重い空気になってしまうので……。
妻:テレビドラマで流産の危険があるというシーンが出てくるとチャンネルを変えることもありました。2人の間でその話題はタブーという雰囲気でした。
夫:「妊娠しやすい日を調べて頑張ろう」といったことはせず、あくまでも自然に仲良くすることを心がけていました。
先生からひとこと
妊活は基本的にご夫婦一緒に取り組むことが望ましいですが、流産や子宮外妊娠など想定外のことが続くと夫婦間での相談に気を使ってしまうケースも多いだろうと思います。お互いの気持ちを尊重しつつ妊活に向き合うことが必要で、その意味からは重い雰囲気にならないように配慮されていたというのもよかったのでしょうね。不安をはじめとするストレスが強いと、精液所見が悪化するという研究データも公表されていますから、男性妊活の面からも「自然にまかせよう」という気持ちの切り替えがいい結果につながったのかもしれません。
3.男性が検査に行くのはハードルが高かった
――妊娠がダメになったとき、男性不妊の可能性を考えたりしましたか?
夫:妻の体には異常がなかったので、 「自分に問題があったらどうしよう」という不安はありました。とはいえ、検査に行くのはハードルが高く、どこに行ったらいいかもわかりませんでした。「誰かに見られたらどうしよう」 「恥ずかしい」という気持ちもあって……。周りで検査をしたという話も聞いたことがありませんでした。
妻:ネットを見ると、不妊は男性が原因の場合も多いと書いてあったので、それを夫に伝えたことはあります。でも「検査に行ってほしい」とまではお願いしませんでした。それで夫婦仲がぎくしゃくしたら困りますし……。ただ女性は、男女双方に原因の可能性があるとわかれば、「自分のせいだ」と思い込まず、ストレスも少し軽くなりますよね。
夫:結局、妻が長女を妊娠中に辻村先生のところへ相談に行きました。ただ、すでに妊娠していたので精液検査はしませんでした。
――男性専門クリニックに相談に行かれて、何か変わりましたか?
夫:先生の話を聞いたことで、すごく安心できました。 「今は男性不妊でもいろんな選択肢がある」と教えていただき、もし自分に問題があっても、治療できることがわかりました。
妻:「ネットでこんなことが書かれていたよ」と話すより、 「専門の先生がこう言っていた」というアドバイスは信頼性があって心強かったです。夫がクリニックに相談に行ってくれたことも、一緒に妊娠に向き合ってくれていることを感じて、妻としてはうれしいですよね。その後は、妊活について以前よりふたりで話せるようになりました。
夫:男性不妊の検査をしなくても、まずは相談だけできるところがもっとあるといいですよね。お金もかかるので、自治体が不妊に関する相談会などをもっと開いてくれるとよいと思います。
妻:女性に男性不妊についての知識はないですし、アドバイスもできません。産婦人科の先生も夫に対するアドバイスはなかったですし、男性専門クリニックの先生の存在がもっと知られてもよいのではと思いました。
先生からひとこと
なかなか妊娠、出産に至らないご夫婦なら、当然、男性側のチェックも必要です。日本のデータからは、不妊夫婦の4割でご主人の精液が不良である計算になります。もちろん、精液が不良だったからと言って、不妊症の原因が男性側のみのものと決めつけるのは早計です。女性側の原因も同時に存在することも多いわけですから。ただ、奥様が「自分だけが原因ではなかったんだ」ということで精神的ストレスが緩和されるという利点もあるかなと思います。
男性妊活に特化した診療を行っている医療施設も徐々に増えてきていますし、不妊クリニックの中に男性専用の外来ブースを別にご用意されているところもりますから、あやふやなネット情報より専門的な医療情報を重要視していただきたいですね。
4.妊活にはネガティブなイメージがあった
――具体的に食生活で気をつけたことはありましたか?
妻:私は妊活にいいといわれる葉酸サプリを飲んでいました。効果があったかどうかはわかりませんが……。
夫:僕も「オムテック メンズシードサプリメント」という男性向けのサプリを飲んで、お酒は控えるようにしていました。妊活には亜鉛がいいと聞きましたが、「オムテック メンズシードサプリメント」には亜鉛やコエンザイムQ10などが含まれていました。気をつけていたのはそれくらいです。
妻:食生活ではありませんが、ストレスがよくないので、焦って「早く子どもをつくらなきゃ」というふうには思わないようにしていました。
――妊活の情報はどこから得ていましたか?
妻:ネットの口コミサイトが多かったです。でも、妊活は不安な気持ちで行っている人が多いですし、どこかマイナスなイメージがあって、大っぴらにできることではない感じでした。妊娠しない自分はダメなんだという雰囲気があって……。
夫:男性の妊活はもっと情報がないですし、誰にも相談ができません。そんなときに、辻村先生のことを知って、相談できたのは本当によかったです。
妻:妊活の口コミサイトを見ると、妊娠の難しさを感じて、不安になることも多かったです。専門家から情報を得るほうが安心できると思いました。
――周りの人に妊活について相談することはなかったですか?
妻:妊娠してからは母親学級もありますし、情報はたくさん得られるんです。でも妊娠するまでの情報がなかなかないことがわかりました。お話ししたように妊活はマイナスのイメージがあり、周りにも言いづらいんです。デリケートな話題です。不安を払拭してくれるカウンセラーみたいな存在の人が身近にいてくれたらいいのにと思いました。
夫:周りで妊活している男性を知らないですし、友人や同僚に気軽に話せるテーマではなかったですね。
先生からひとこと
ネットで調べると、男性妊活用のサプリメントの情報も玉石混交ですね。2021年のWHOマニュアルで精液中の酸化ストレスマーカーの測定が初めて記載されましたが、これは酸化ストレスマーカーの上昇により精子の質が悪化することに基づいています。このことを考慮して、さまざまな抗酸化剤を配合した「オムテック メンズシードサプリメント」をおすすめしております。男性妊活の側面でお話しすれば、メタボにならない生活、睡眠時間の確保、適度な運動、ストレスのない生活とともに、信頼のおけるサプリメントも考慮いただければと思います。
5.夫婦のコミュニケーションが大事
――最後に妊活を考えている読者にアドバイスをお願いします。
妻:なかなか妊娠しなかったら、まず検査するのは女性だと思いますが、男性妊活についても夫婦で知っておくほうがよいですよね。
夫:正しい情報や知識を持っていれば、不安は減ると思います。
妻:出産はおめでたいことなので、妊活ももっとワクワクしながらできるといいですよね。タブー視しないで、前向きに話し合って、妊活中も明るい毎日を過ごしてほしいと思います。女性だけでなく、男性もともにその原因を探りながら、パートナーとコミュニケーションをとって、支え合うことが大事だと思います。
先生からひとこと
妊活はあくまでもご夫婦のご相談、 ご希望の上になりたつものです。奥様だけの診察ではバランスを欠くでしょう。男性が妊活していると思われるマイナスのイメージが払拭できないのかもしれませんが、きちんと対応してくれる医療機関も存在します。専門的な医療情報を正しく理解された方が妊活に対する不安も軽減されるでしょうし、ご夫婦で妊活の話を深刻にならない環境において進められることを切望します。働き盛りの男性が仕事のやりくりをして妊活用の診察を受けるということ自体、ハードルが高いのかもしれませんが、それだけのメリットはあるものと思います。妊娠を期待できる時期は人生の中で限られています。何を大事にするかも含めて、ご夫婦で同じベクトルで進んでいただければと思います。
辻村晃 医師のプロフィール
Dクリニック東京 医師
順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科 教授
日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医、日本生殖医学会 生殖医療専門医
医師の詳細についてはこちら↓
https://www.menshealth-tokyo.com/clinic/doctor/